2014年10月27日月曜日

コミュニティセンターの建設








ルーネルドとの出会い

前回の投稿でご紹介した通り、今年アフリカ支援 アサンテ ナゴヤが実施したゲム・イースト村無料医療キャンプでは、完成したコミュニティセンターを活用しての医療活動を行いました。
センターの建設がどのように進んだかを振り返ってご紹介いたします。

アサンテ ナゴヤがゲム・イースト村を訪れたのは2009年の春です。
ゲム・イースト村はニャンザ州の農村でナイロビから300キロ以上西方にあり、ヴィクトリア湖からは数十キロ内陸になります。
ケニア地図 クリックして拡大してみて下さい。

アサンテ ナゴヤのメンバーは、それまでナイロビのスラムでの医療活動の経験はありましたが、奥地の農村に行ったことなどありませんでした。よく思い切ったものです。
ゲム・イースト村で出会ったのが現地チャリティ団体ルーネルドです。理事のエリアス牧師の高潔なお人柄には魅せられました。この素晴らしい出会いがあったからこそ私たちのボランティア活動が今日まで続いていると言えます。

その時に村に必要なものとしてエリアス牧師がまず挙げられたのが、コミュニティセンターの建設とクリーンな水の供給でした。
アサンテ ナゴヤからは、まず病人を医療機関に運ぶ足が必要であろうと言うことで、一宮ライオンズクラブ様のご協力により車両を寄贈しました。このバンは大活躍しており、今回のキャンプでもフルに活用しました。



その後、エリアス牧師から私たち宛にセンターの図面と建設パースが送られてきましたが、私個人は将来的な課題という認識でした。

 建設用地の取得

計画が動き出したのは2012年です。アサンテ ナゴヤは2010年、11年と2回の医療キャンプを実施した実績がありました。その時までは村の中心の広場を借りて、キャンプ会場としていました。
2012年にエリアス牧師が村に土地を購入され、そこにテントを張りました。センターの建設用地として想定していることは明らかです。この土地の購入はアサンテ ナゴヤに対する信頼の証と考え、私たちはセンターの建設を真剣に考え始めました。

2012年のキャンプ。朝から長蛇の列でした。  

 帰国後、ルーネルドとeメールを通じて打ち合わせを繰り返し、ケニアの医療制度などの情報を集め、彼らが何を望んでいるのかを理解しようと努めました。
 コミュニティセンターはヘルスセンターとして認定してもらい、医療機関として村の人たちに医療を提供するとともに、村のシンボル的な建物として村の集会所、健康に関する情報発信の場として機能することになるでしょう。

内科などの診療に使ったホール。
集会所として使えます。
  

鍼灸の診療に使った小部屋。
診療、検査、カウンセリングなどに使います。

建設募金

2013年の5月からアフリカ支援 アサンテ ナゴヤはコミュニティセンター建設募金を実施しました。
皆様の温かいお志を賜わり、目標を大きく上回る約260万円を現地に送ることができました。募金に加え、個人的に託されていたお金を合わせて建設資金としてルーネルドに託し、センターの建設が始まりました。

2013年のキャンプの際にはすでに建設工事は始まっていました。
工事はエリアス牧師が責任を持って進められました。建設会社に請け負わせる代わりに、自ら資材を購入し、直接村の人たちを労働者として雇用することによって、資金の使途を明確にし、工期も短くすることができました。ルーネルドは定期的に領収書のコピーを送ってきましたので、私たちは資金がきちんと建設のために使われていることがわかりました。

2013年9月のキャンプの時の様子 

2013年10月 壁が出来上がっています。

2013年12月 屋根、窓、扉が付き、建物らしく
2014年3月 ほぼ完成 




自立支援の第一歩

2009年に初めて村を訪れて、こんなに早くコミュニティセンターが出来上がるとは思っておりませんでしたので、これは本当に驚きです。
アフリカ支援 アサンテ ナゴヤの活動をご支援下さった皆様方のおかげです。心より御礼申し上げます。

センターが出来上がったことで私たちの自立支援はようやく第一歩です。
医療から隔絶された村に医療を提供するためにはまだまだ多くの課題があります。
お陰様でこれまでは順調に活動を続けてこられたと思います。今後医療支援が本格化していくことになるでしょう。コミュニティセンターを公的に認可してもらい、ヘルスセンターに昇格することが必要です。そして医療機関として活用していかなくてはなりません。決してたやすいこととはかんがえておりません。これからも何卒よろしくご支援のほどお願い申し上げます。


アフリカの青空に赤い屋根が映える美しい建物が出来ました。









2014年10月21日火曜日

ケニア・医療キャンプのご報告


2014年医療キャンプ

私たちアフリカ支援 アサンテ ナゴヤは9月12日(金)から23日(火)の日程でケニアに行き、ヴィクトリア湖近くの奥地の農村ゲム・イースト村にて5日間の医療キャンプを実施して参りました。2010年から毎年9月に同じ村を訪問しており、今年で5回目です。総勢18名で、内科、小児科、皮膚科、歯科、採血、鍼灸、薬局という構成でした。
ゲム・イースト村はニャンザ州ホマベイ県に属しています。この地域はケニアの中でも特にHIV感染率の高いところで、私たちは診療とあわせて村の人たちにHIV検査の受検を奨めています。こうした農村では、無知や偏見からHIVはタブー視されることも少なくないのですが、今年は自らHIV検査を受けたいと希望する人もあり、ずい分啓発が進んだ印象がありました。

採血の様子

 

コミュニティセンターの建設

今年のキャンプでの最大の変化は何と言ってもコミュニティセンターが建ったことです。
2009年にアサンテ ナゴヤが初めてゲム・イースト村を訪れた時、現地のチャリティー団体ルーネルドのエリアス牧師が村に必要なものとして挙げたのが『コミュニティセンターの建設』と『クリーンな水』の2つでした。
建物を建てるというのは、私たちのような小さなNPOにとっては大変なことですし、夢のような話だと思っていたのですが、エリアスさんの方は本気でした。建設図面や見積もりを送ってきていたのですが、2012年には自ら村に土地を購入されました。私たちもその情熱に動かされ、2013年に募金を実施し、その資金を基に今年の春にセンターは無事竣工いたしました。

ケニアから送られてきた建築パース

これまでは野原にテントを張り、地面に直接机や椅子を置いて診療をしていました。
これはなかなかに過酷で、テントがあってもアフリカの太陽は容赦がありませんし、地面はでこぼこですので、机はガタガタして不安定でした。暑さのために体力を奪われて、体調を崩すこともありました。今年は全員が全日程休むことなく参加できたのですが、実はこれは画期的な事でした。
下の写真は昨年の採血の様子です。採血の担当の方はベテランで難なく仕事をこなしているように見えましたが、実際はかなりやりづらかったはずです。野外ですので、風でカルテが飛んで行かないように気を付けていないといけませんでした。

2013年の採血の様子

 

ゲム・イースト村に保健医療のための施設を

建築工事中も落成後もケニアから写真が送られてきていましたので、建物の様子はわかっていましたが、9月に医療キャンプのために村を再訪して、赤い屋根の建物が出来上がっているのを見たときは本当に感激しました。こんなに早く建物が出来上がるとは思ってもいないことでした。
センターのおかげで今年のキャンプはスムーズに運営され、受診者のトータルは昨年の4割増でした。

センターの目的はもちろんキャンプのためだけではありません。
今後、いかに稼働させていくかが課題です。医療から隔絶した環境にある村の人たちが安定的に診療や検査を受けたり、健康に関する情報を得られるような施設として運営していきたいと考えております。そのためにまず政府に公の『ヘルスセンター』としての認可を受けることが目標です。
ケニアの医療制度には課題が多いと聞いています。とりわけゲム・イースト村のような僻地の農村は政府の医療政策においても後回しにされがちだとのことです。
私たちの自立支援もセンターが完成したことでようやく第一歩です。これからもルーネルドとしっかり話し合い、現地の人たちに本当に役に立つ支援を続けていく所存です。今後とも私たちアフリカ支援 アサンテ ナゴヤの活動へのご支援をよろしくお願い申し上げます。

完成したコミュニティセンター