2014年8月8日金曜日

2014年ケニア・ゲムイースト村無料医療キャンプ


2014年度医療キャンプ



 私たちアフリカ支援 アサンテ ナゴヤは今年もケニア奥地の農村ゲム・イースト村にて無料医療キャンプを実施いたします。
 2009年のリサーチの旅から数えて6回目の訪問となります。村では毎年の医療キャンプは恒例として受け入れられており、今年も多くの村の人たちが私たちの来訪を待っていることでしょう。今年はコミュニティセンターの建設が完了していることが何より大きな違いです。昨年まではテントを張り、土の上にテーブルと椅子を並べて診療しておりましたが、今年は屋根の下での医療活動となります。
 私たちの来訪に合わせて、現地協力団体が開所式を企画しています。村の人たちや政府の担当者等を多く招いてのイベントとなるようです。日本の感覚では、建設完了からずい分時間がたってしまったように思えますが、式典には私たちアサンテ ナゴヤが同席しているほうがよいという判断なのでしょう。センターが村の中核的な施設であることを内外に印象付けることになることと思います。

 実際、村の健康支援、自立支援はセンターの建設によってようやく第一歩です。医療体制、クリーンな水、正しい健康情報などなど村に不足しているものは多くあります。現地協力団体ルーネルドとは常時eメールでやり取りを続けていますが、ケニアでは顔を合わせてしっかり話し合いをしてまいります。また皆様方にご報告申し上げますので、今後ともご支援をよろしくお願い申し上げます。



 
 
キャンプの様子をご理解いただけるよう、昨年2013年のキャンプにご参加くださった方の寄稿文をご紹介します。

2013年アサンテ・ケニア医療キャンプの感想

岐阜大学保健管理センター   西尾彰泰


今回はじめて、アサンテさんの医療キャンプに参加させていただきました。アサンテさんの活動は、イベントなどで良くお見かけしていたので、ご一緒したいなと思っておりました。さっそく機会を与えてくださったみなさんに感謝します。私自身の職種は、精神科医なのですが、2010年より、名古屋大学の国際開発研究科の大学院に入り、国際開発の勉強をしております。医学部の国際保健学科ではなく、国際開発研究科に入ったのは、単によくわかっていなかっただけのことなのですが、医療に限らず、経済開発や教育開発、社会開発など、様々な方向から途上国に関わる視点を持てたのは良かったと思っています。その関係で、先輩らが立ち上げた、ケニアで小規模の経済開発を行っているNPOに参加しています。そのNPOで、アフリカ関係のイベントなどに良くブースを出すのですが、アフリカをテーマにしたイベントでブースを並べるのはだいたい同じ顔ぶれですから、やがて、アサンテさんの活動を知るようになったのです。

 「ケニアで精神科医療を?」と思われるかもしれませんが、まだケニアはそんな段階にはなく、今回のキャンプで、私は受付を担当しました。私自身の関心も、医療キャンプでプレイヤーとして働くよりも、国際開発的な視点でマネージメントに関わることに興味がありましたので、受付を任せていただけたのは大変ありがたかったです。



受付がどういうものかと言いますと、1日におよそ200人の受診者が来ますので、それをつつながなく各科に割り振るというのが仕事です。今回のキャンプでは内科医5人、小児科医2人、皮膚科医1人、歯科医1人、鍼灸師2人の陣容だったのですが、どうしても小児科、皮膚科、歯科は渋滞しがちなので、様子を見ながら、小児科医でなくても大丈夫そうな年齢や症状の子供を、内科にまわすなど判断を行います。今回の場合のだいたいの基準ですが、3歳までの小児は、内科では困るだろうと思いましたので必ず小児科に、それから、嘔吐症状は小児科らしい症状ですので、そういう子供も優先的に小児科にまわすようにしていました。それから、ケニアでは皮膚疾患を持つ患者さんは、あまりにたくさんおりましたので、真菌感染やちょっとした湿疹、あるいは内科疾患由来らしい皮膚症状の人は、内科にまわすようにしました。そのため、皮膚症状はすべてこの目で見て確認を行いました。歯科だけは、他に回すということができませんので、その日の進行具合を見て、途中でお断りをすることもありました。結局、歯科治療を受けることができなかった人もいたので、それだけが残念ですね。それから、慢性痛を持つお年寄りには、積極的に鍼灸をお勧めしました。毎回、ケニア人スタッフに、私の説明をスワヒリ語やルオ語に通訳してもらうのは大変なので、数回目からは、ケニア人スタッフに「さっきの説明を彼女にもしてくれ」と頼めば、懇切丁寧に説明してもらえるようになりました。受付にはケニア人スタッフがたくさん入ってくれており、1日も一緒に仕事をすれば、こちらが何をやりたいかをおよそ理解してくれて、こちらが聞きたいことを先回りして聞いてくれたりなどするので大変助かりました。キャンプ後半には、判断に悩むときにアドバイスを求めたりしておりましたら、「それを判断するのはあなたでしょう?ドクター」と、やんわり釘を刺されたほど頼り切っておりました。たくさんのケニア人スタッフの中でも、特別に優秀な人が受付担当者の通訳として入ってくれますので、受付は恵まれたポジションだと言えると思います。

ケニアの印象についてですが、我々の活動する村は、予想と違って緑が多く、非常に美しい場所でした。逆に、途中で通過する茫洋と広がる半乾燥地帯のスケールも強く印象に残っています。ホテルから村に向かう道は、舗装されていない凸凹道がほとんどなのですが、その道をバスで揺られながら、どこまでも続くトウモロコシ畑を見ながら行き来するのが毎日の楽しみでした。ただし、これは体調を崩すと単なる悪路ですから、地獄のような道になります。ホテルの食べ物しか食べていないので、現地の人が食べているものを食べたわけではないのですが、食事は普通に美味しく、毎日夕食時にはビールを飲みながら、たくさん食べておりましたら、胃が動かなくなり、ずいぶん嘔吐しました。下痢はなかったので、食べ物にあたったわけではないと思います。やはり、慣れない場所で慣れないものを食べる場合には、腹八分を心がけるべきだと思いました。現地ではテンションが上がり、つい暴飲暴食をしがちですので、今度、はじめてケニアに行かれるかたは、その点に気をつけられると良いと思います。当たり前と言えば当たり前のことなのですが・・・。

私は、研究者ですし、国際開発学が専門のひとつですから、来年のキャンプでは、外部の人の検証に耐えうるしっかりとしたデータを取ったり、現地の人たちだけでも持続可能な仕組みを導入したりということもやれればと思っていますが、何よりも、トウモロコシ畑ばかりの電気も水道もないところで、素晴らしい仲間たちとハッピーな時間を過ごせること、それだけで十分という気もします。医師としての戦力になることはできませんが、来年も参加することができれば何より幸いです。




名古屋医療センター看護師 鈴木 泉

 

 日本でHIV・エイズ看護を行っているため、ケニアでの感染予防対策やゲムイースト村での感染率などに興味を持って無料キャンプに参加させて頂きました。無料キャンプ中に2回もVCT見学することができ、どちらともボランティアが中心となり予防啓発や検査、カウンセリングなど、その地域の人たちが同じ地域の人たちを支え合っていることがとても印象に残りました。

 ゲムイースト村での感染率は、日本全体の感染率と比べても比較にならないぐらい高いもので、予想はしていたものの、やっぱり驚きました。日本と違うのは、女性の感染率が高いということです。女性は母子感染を起こす可能性もありますが、文化や習慣の違いから女性の感染率を低下させることは難しい課題であると痛感しました。

 キャンプ中は、歯科ブースで先生の手伝いをさせて頂きました。歯ブラシを持っていない人が多ため虫歯が進行してしまっており、ほとんどの人が抜歯を希望するので、1日に何十本と歯を抜くのを手伝いました。器具の煮沸消毒も行わなければならず、初めての体験ばかりで毎日楽しんで手伝いさせてもらうことができました。

 短いキャンプ期間ではありましたが、多くの出会いと学びを得ることができました。機会があればまた参加させて頂きたいです。



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