2013年5月21日火曜日

2013年度 アフリカ支援 アサンテ ナゴヤ講演会

アサンテ ナゴヤは毎年講演会を開催しています。
アフリカ支援に関連した活動をなさっている方をお招きし、毎回貴重なお話を聞かせていただいています。

今年は 5月18日(土)に開催いたしました。
先日ブログでご案内の通り、 (株)現代建築研究所の吉田啓一先生を講師にお招きし、「アフリカの今-建設支援の取り組み方から課題を探る」と題した講演をいただきました。
当日は多数の方にご参加頂きました。当NPOの会員の方々だけでなく、ブログやfacebookページをご覧頂いた方にもお越し頂くことができました。

今年の講演会が例年と違う点は、「ケニア・ゲムイースト村コミュニティセンター建設募金」の開始を発表したことです。
講演会の内容もセンター建設に関連したものといたしました。
当日は早速にたくさんの募金を頂きました。心より御礼申し上げます。

募金については、講演会後ホームページにもご案内を掲載しています。
ぜひご協力をお願い申し上げます。
http://asante-nagoya.com/bokin.pdf


吉田先生は シエラレオネ、スーダン、ネパールをはじめとして多くの国で長年に渡って建築支援に深く関わっていらした方です。
そのお話は全て実体験に基づいており、含蓄のあるお話でした。

小学校校舎、ヘルスセンター、井戸など小規模施設の建設では、支援する側と支援を受ける側とがさまざまな取り組みを行ってきたということです。
具体的には
①日本の建設会社が施工
②現地の建設会社が施工する
③NGO等が村の住民と共同で計画し、建設に住民が労働を提供する
④支援 側は資金提供と実施のためのお手伝いを行い、住民が建設を実施
など、色々なやり方があります。
①や②だと仕事は早く、合理的ですが、③や④のように実際に施設を利用する村の人たちが計画に関与するやり方の方が、結果的に意義深い支援になるというお話でした。

アフリカでは最近中国からの支援が増えていて、ケニアでもその傾向は顕著です。
テレビ報道によれば、そうした支援は中国企業が請け負い、実際の仕事も中国から来た労働者が行うということで、ケニアの企業や労働者には恩恵が及ばないということです。

ゲム・イースト村のコミュニティセンター建設計画は、現地のNGOルーネルドが村の人たちと話し合いながら進めています。私たちアサンテ ナゴヤの役割は、日本の皆様から頂いたご支援が無駄なく有意義に使われるよう管理することと考えています。



当日は、アサンテ ナゴヤの内海眞理事の講演もありました。
「HIV/AIDSの基礎知識」
「ゲム村コミュニティセンター建設について」
という二つのテーマでお話させて頂きました。
 
HIV/AIDSは内海理事の専門分野であり、HIV/AIDSの病理や国際的な状況、日本の状況についての話はとてもわかりやすく、ご参加の皆様のご理解も深まったのではないでしょうか。
 
世界的に見て、HIV/AIDSの感染者はアフリカのサハラ砂漠以南の地域に特に多く見られます。子どもの感染者について見ると、その傾向はより一層顕著です。
ケニアもサハラ砂漠以南に属します。だからこそ、アサンテ ナゴヤはまずケニアに支援に向いました。ケニアの中でも、ゲム・イースト村のような僻地の農村は、政府の対策もなかなか行き届きません。
 
HIV/AIDSは今では治療できる病気です。
そのために一人でも多くの方に検査を受けてもらい、治療を開始する必要があります。
そして、何より大切なのは予防です。
HIV/AIDSについての正しい知識を持ち、感染につながる行動を避けることが予防につながります。
 
NGOルーネルドはゲム・イースト村において、予防啓発活動に努めています。
村にコミュニティセンターができれば、検査、治療の拠点となるだけでなく、村のセンターとしての役割を果たし、HIV/AIDS予防啓発活動、衛生についての啓発活動なども活発に行うことができるようになります。
村の人たちが当初よりコミュニティセンターの建設を求めていたのは、こうしたことが理由です。
 
コミュニティセンター建設の意義にご理解を頂き、募金にご協力くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

2013年5月10日金曜日

ケニアGEM EAST村 コミュニティセンター建設計画(2) HIV検査について


VCTについて

私たちは元々、サハラ以南のアフリカにおけるHIV/AIDSに対して行動を起こすことから活動をスタートしています。ですからHIV検査は、アサンテ ナゴヤの医療キャンプにおいても最も重点を置いている活動の一つです。

HIV検査はVCTという方式を取ります。
ケニアでは1999年にHIV/AIDSをNational  Disasterと宣言し、その対策の重要な活動としてVCTは位置づけられています。
VCT [Voluntary Counceling and Testing]とは日本語では「自発的カウンセリング・検査」と訳されます。

独立行政法人 国際協力機構(JICA)のホームページでは、下記のように説明されています。

HIV/AIDSやHIV検査について十分な情報を得たうえで(プレ・カウンセリング)、自ら選択してHIV検査を受け、検査結果に基づいてポスト・カウンセリングを受けるまでの一連のプロセスを指す。VCTは、その後の治療やケア・サポート、母子感染予防などの「入り口」(Entry Point)になるとともに、VCTというプロセスを通じて人々がHIV/AIDSについてリアリティを持って考えることができるようになるという点で、予防・啓発活動の「入り口」でもある。その点で、VCTは包括的HIV/AIDS対策における一つの要の位置を占めるということができる。



アサンテ ナゴヤが毎年実施しているGEM EAST村 無料医療キャンプにおいても、事前にカウンセリングを実施し、検査後陽性者にはフォローを行っています。
このカウンセリングとフォローは現地NGOのルーネルドが担当しています。

ルーネルドはこれ以外にも、GEM EAST村にてHIV/AIDS予防啓発活動として、様々なワークショップを実施しています。
HIV/AIDSに対する正しい知識を持ち、感染につながる行動を避け、予防すること。HIV/AIDSに対する偏見や迷信を取り除き、陽性者と共生するコミュニティを創る。HIVのために困っている弱い立場の、主に女性や子供を支援する。
こうしたことを目的に活動しています。
ルーネルドは、GEM EAST村内に約50名のOVC's(エイズ関連で親を亡くした孤児やネグレクトを受けている子ども)のケアをしていると報告を受けました。

HIV/AIDSのケアと予防の拠点としてのコミュニティセンター

医療キャンプの際は、一人でも多くの方に検査を受けてもらうよう、声をかけることにしています。
それでも実際に検査を受けるのは一部の患者に過ぎません。昨年の実績は1113人の患者のうち、検査を受けたのは188人ですから、2割以下です。
また、キャンプにくるのは女性が多く、男性は少ない傾向があります。HIV/AIDS感染予防のためには男性の行動がカギを握っていますので、これは今後の重要な課題です。

キャンプに参加した医師の皆さんから話を聞くと、 受検を勧めると「もう受けた」と言って断る方が意外に多いということでした。
検査を受けたくなくて、嘘をついているのかもしれませんし、あるいは実際にどこかのVCTセンターで受検したのかもしれません。

GEM EAST村にコミュニティセンターができれば、VCTセンターとして機能させることができます。
現状では受検したいと思っても、何キロも歩いていかなくてはなりません。
そこでフォローをしてくれるとしても、そんな遠くまで頻繁にいくことは大変なことです。

村で検査を実施できれば、受検者も増えるでしょうし、その後のフォローもしやすくなります。
あわせてルーネルドが予防啓発ワークショップを開催できますから、うまく連携できるでしょう。
コミュニティとしてHIV/AIDSに立ち向かう体制ができることになります。

コミュニティセンター建設は、このようにHIV/AIDSの予防という点からも大変意義深い事業です。
皆様方にご理解、ご協力をお願い申し上げます。

2013年5月5日日曜日

ケニアGEM EAST村 コミュニティセンター建設計画

コミュニティセンターについて

私たちNPO法人アフリカ支援 アサンテ ナゴヤは、ケニアの農村GEM EAST村におけるコミュニティセンターの建設支援計画を進めています。
このことは以前のブログ記事でもご案内しています。
http://asantenagoya.blogspot.jp/2013/04/gem-eastngo.html

この記事の中では「ドロップインセンター」と記載していました。現地の協力団体ルーネルドからのメールに当初そのように書いてあったからです。
ところがその名称は必ずしも制度的に定められたものというわけでもないようで、ルーネルドも色々な呼び方をしてきます。
計画を進める上で、アサンテ内で名称を統一しようということになり、「コミュニティセンター」を採用しました。


コミュニティーセンターに期待されている役割は、例えば以下のようなものです。

公的医療施設として
・HIVの検査とカウンセリング
・HIV母子感染予防
・外来による治療
・予防接種、小児疾患の管理
・マラリア検査

現地NGOによる啓発活動の場として
・HIV感染予防啓発
・HIV/AIDSについての講座
・エイズ孤児や女性に対する支援活動
・衛生についての教育
・村の公益的活動や種々の情報提供

コミュニティセンターとは、地域医療を提供することのみならず、村民の健康を増進するための様々なサービスを提供する場であると解釈できるかもしれません。
上記のような機能をもつのはケニアの医療制度の中では、レベル2か3の診療所かヘルスセンターにあたるでしょう。
コミュニティセンターとは、医療施設を含む様々な機能をもつ複合的な施設と考えられます。

ケニアでは、センターはコミュニティに基盤を置く教会やルーネルドのようなNGOによって設立されることがよく見られます。
政府はセンターを公的な医療施設として認定し、医療従事者の派遣などの支援をします。
センターはあくまでもコミュニティのもので、設立者である団体と医療を受ける側の村人の代表者から成る委員会によって運営されます。
そのことにより、村の状況に合わせた運営ができる、ということです。

GEM EAST村の場合、センターのような建物は他に無いようですから、医療関連のみならず、村の寄り合いや結婚式会場としても利用されることも考えられます。
まさにコミュニティのセンターとして機能することが期待されています。
これはGEM EAST村のような貧しい農村においては、村の有り様を変えるような大きな変化をもたらすものです。

*ケニアの医療制度についてはこちらの記事で少しご紹介しています。
http://asantenagoya.blogspot.jp/2013/04/gem-east_8.html