2014年11月14日金曜日

ケニア奥地の農村ゲム・イースト村にクリーンな水を供給したい

「トイレよりも携帯電話を持っている人の方が多い。」




water.orgは俳優のマット・デイモンが共同設立者であるチャリティーグループで、世界で8億の人々が清潔な水を手に入れることができない状況を変え、すべての人々が清潔な水を手にすることができる世界を実現しようとしています。

この「トイレより携帯電話」という状況は、私が初めてアサンテナゴヤのキャンプに参加させて頂いて、ゲムイースト村に行ったときから個人的に感じていることです。
ケニアでも携帯電話会社の広告がいたるところに掲示されていて、医療キャンプにやってくる村の人たちも携帯を持っています。その割合は年々高まっていることを実感します。

村には通信手段がありませんから、携帯電話があることで大いに便利になっていることは疑うべくもありません。
またケニアには「エムペサ」という携帯電話を使った画期的な個人間送金システムがあります。金融機関の口座など持っていない村の人が、都会に出稼ぎに行った家族からの仕送りを受け取ったりするのに活用されているシステムです。携帯電話が村の人たちの暮らしに必要不可欠であることは論を待ちません。

一方で、キャンプに行くバスから村を眺めていると、道路脇にしゃがんで用を足している子どもを見るのは毎日のことです。
また、ナイロビにある世界最大のスラム「キベラ」には100万人が暮らしているのに、共同トイレはわずか600個で、しかも危なくて使えないということです。道端で用を足したり、ビニール袋に出して、その辺に捨てたりするとのことで、大変不潔です。

トイレと携帯電話を比べるのもおかしな話なのかもしれませんが、水も電気もない村でみんなが携帯を持っているのを見ると「順番が違うのではないか」と素朴に思ってしまいます。

ゲム・イースト村にクリーンな水を



前回のブログでも書きました通り、アフリカ支援 アサンテ ナゴヤはゲム・イースト村コミュニティセンターの敷地内にてクリーンな水を供給できるようにしたいと思っています。
センターには水洗トイレの設備がありますが、現在は水が通っていないため無用の長物です。この点はルーネルドのエリアス牧師も力説されていたポイントです。
幸いゲム村は地下水には恵まれたエリアにあります。ただし固い岩盤を貫いて、深い井戸を掘らなくてはなりません。
井戸を掘るにあたっては、専門業者が事前にしっかり調査をして、掘削に取り掛かることになります。
今後、しっかりと打ち合わせをして計画を進めていく所存です。何卒皆様方のご理解と温かいご支援をお願い申し上げます。



NPO法人アフリカ支援 アサンテ ナゴヤでは、ご入会、ご寄附のお申し込みを常時受け付けております。何卒よろしくお願い申し上げます。
 
アフリカ支援 アサンテ ナゴヤ 入会のご案内
 

2014年11月9日日曜日

コミュニティセンター開所式



アフリカ支援 アサンテ ナゴヤは9月16日から20日までケニア奥地の農村ゲム・イースト村にて無料医療キャンプを実施しました。
今回は現地にコミュニティセンターの建設が完了しており、室内での診療となりました。昨年まではテントを張って地面に直接机や椅子を置いての診療でしたから、今年は大きく環境が改善され、従来よりはるかに多くの人たちに医療を提供することができました。

私たちは現地のNGOルーネルドと協力して、キャンプを実施しています。現地団体の協力無くして、外国人である私たちがアフリカの農村で医療活動を実施することは不可能です。
今回、ルーネルドはキャンプ中にケニア政府の高官や医療行政責任者、ゲム・イースト村の人たちを招いて、コミュニティセンターの開所式を催しました。
センターの建設そのものは3月に完了していたのですが、ルーネルドとしてはキャンプの最中に式を行うことで、最大の支援者であるアサンテ ナゴヤの存在を政府の人たちにアピールできると考えたのであろうと思います。

州政府の政治家と医療行政の責任者
 
余興のお芝居

 
 
ケニアで提供されている保健サービスは6段階に分けられています。簡単にいうと、レベル 1 はコミュニティ・ヘルスワーカー、2 は簡易診療所、3 は診療所、4 は県立病院、5 は州立病院、6 は国立病院という感じだそうです。
ルーネルドはゲム村のセンターをレベル3の診療所、ヘルスセンターとして村の人たちに日常的に医療提供できるようにすることを目標にしています。
ケニアの医療状況にはかなり問題があるようで、首都ナイロビと地方都市の格差も大きいと聞いています。ゲム村から7キロほど離れたところにはヘルスセンターがあり、アサンテ ナゴヤが滞在しているキシイという町にはレベル5の病院もあります。村からそうした医療機関に出向くのは大変なのですが、医療従事者や薬剤が不足しているため、なけなしのお金を費やしてわざわざ出かけても他に回されてしまうこともあるようです。
 
そのような状況の中で、村の人たちの保健状況を改善するために、コミュニティセンターという拠点がまず必要でした。センターがあれば、政府に医療施設として認定してもらうための申請ができます。政府の認定が得られて、ヘルスセンターとして認められれば公的な医療支援が受けられるということです。
ゲム・イースト村のような僻地の農村はこれまで後回しにされており、十分な公共サービスが得られずにいました。だからこそルーネルドのような地域に根差したチャリティーグループが必要とされているのです。その意味ではヘルスセンターとして認可されればすぐにゲム村に日常的に医療が提供できるようなことは期待できないかもしれません。ケニアの医療状況はそれだけ困難が多いようです。
 
今回ルーネルドは州政府と交渉し、ヘルスセンター申請への協力の約束を取り付けました。これは彼らの努力の結果です。
今後少しずつでも医療の提供ができるよう、アフリカ支援 アサンテ ナゴヤとして引き続き支援をしていきたいと考えております。
 
ヘルスセンターとして認可されるためには建物にクリーンな水と電気が供給されていることが条件です。ルーネルドの理事でゲム村の有力者であるエリアス牧師との話し合いで、電気については自分たちで考えるので、井戸の掘削についての支援をお願いしたいという申し出があり、アサンテ ナゴヤとして前向きに検討しております。
計画の実現にはアサンテ ナゴヤを支援してくださる皆様方のご理解とご支援が必須です。今後とも何卒よろしくご支援のほどお願い申し上げます。
 
村にある浅い井戸から汲んだ濁った水

濁った水をペットボトルに入れて飲んでいる子ども


NPO法人アフリカ支援 アサンテ ナゴヤでは、ご入会、ご寄附のお申し込みを常時受け付けております。何卒よろしくお願い申し上げます。
 
アフリカ支援 アサンテ ナゴヤ 入会のご案内
 

2014年10月27日月曜日

コミュニティセンターの建設








ルーネルドとの出会い

前回の投稿でご紹介した通り、今年アフリカ支援 アサンテ ナゴヤが実施したゲム・イースト村無料医療キャンプでは、完成したコミュニティセンターを活用しての医療活動を行いました。
センターの建設がどのように進んだかを振り返ってご紹介いたします。

アサンテ ナゴヤがゲム・イースト村を訪れたのは2009年の春です。
ゲム・イースト村はニャンザ州の農村でナイロビから300キロ以上西方にあり、ヴィクトリア湖からは数十キロ内陸になります。
ケニア地図 クリックして拡大してみて下さい。

アサンテ ナゴヤのメンバーは、それまでナイロビのスラムでの医療活動の経験はありましたが、奥地の農村に行ったことなどありませんでした。よく思い切ったものです。
ゲム・イースト村で出会ったのが現地チャリティ団体ルーネルドです。理事のエリアス牧師の高潔なお人柄には魅せられました。この素晴らしい出会いがあったからこそ私たちのボランティア活動が今日まで続いていると言えます。

その時に村に必要なものとしてエリアス牧師がまず挙げられたのが、コミュニティセンターの建設とクリーンな水の供給でした。
アサンテ ナゴヤからは、まず病人を医療機関に運ぶ足が必要であろうと言うことで、一宮ライオンズクラブ様のご協力により車両を寄贈しました。このバンは大活躍しており、今回のキャンプでもフルに活用しました。



その後、エリアス牧師から私たち宛にセンターの図面と建設パースが送られてきましたが、私個人は将来的な課題という認識でした。

 建設用地の取得

計画が動き出したのは2012年です。アサンテ ナゴヤは2010年、11年と2回の医療キャンプを実施した実績がありました。その時までは村の中心の広場を借りて、キャンプ会場としていました。
2012年にエリアス牧師が村に土地を購入され、そこにテントを張りました。センターの建設用地として想定していることは明らかです。この土地の購入はアサンテ ナゴヤに対する信頼の証と考え、私たちはセンターの建設を真剣に考え始めました。

2012年のキャンプ。朝から長蛇の列でした。  

 帰国後、ルーネルドとeメールを通じて打ち合わせを繰り返し、ケニアの医療制度などの情報を集め、彼らが何を望んでいるのかを理解しようと努めました。
 コミュニティセンターはヘルスセンターとして認定してもらい、医療機関として村の人たちに医療を提供するとともに、村のシンボル的な建物として村の集会所、健康に関する情報発信の場として機能することになるでしょう。

内科などの診療に使ったホール。
集会所として使えます。
  

鍼灸の診療に使った小部屋。
診療、検査、カウンセリングなどに使います。

建設募金

2013年の5月からアフリカ支援 アサンテ ナゴヤはコミュニティセンター建設募金を実施しました。
皆様の温かいお志を賜わり、目標を大きく上回る約260万円を現地に送ることができました。募金に加え、個人的に託されていたお金を合わせて建設資金としてルーネルドに託し、センターの建設が始まりました。

2013年のキャンプの際にはすでに建設工事は始まっていました。
工事はエリアス牧師が責任を持って進められました。建設会社に請け負わせる代わりに、自ら資材を購入し、直接村の人たちを労働者として雇用することによって、資金の使途を明確にし、工期も短くすることができました。ルーネルドは定期的に領収書のコピーを送ってきましたので、私たちは資金がきちんと建設のために使われていることがわかりました。

2013年9月のキャンプの時の様子 

2013年10月 壁が出来上がっています。

2013年12月 屋根、窓、扉が付き、建物らしく
2014年3月 ほぼ完成 




自立支援の第一歩

2009年に初めて村を訪れて、こんなに早くコミュニティセンターが出来上がるとは思っておりませんでしたので、これは本当に驚きです。
アフリカ支援 アサンテ ナゴヤの活動をご支援下さった皆様方のおかげです。心より御礼申し上げます。

センターが出来上がったことで私たちの自立支援はようやく第一歩です。
医療から隔絶された村に医療を提供するためにはまだまだ多くの課題があります。
お陰様でこれまでは順調に活動を続けてこられたと思います。今後医療支援が本格化していくことになるでしょう。コミュニティセンターを公的に認可してもらい、ヘルスセンターに昇格することが必要です。そして医療機関として活用していかなくてはなりません。決してたやすいこととはかんがえておりません。これからも何卒よろしくご支援のほどお願い申し上げます。


アフリカの青空に赤い屋根が映える美しい建物が出来ました。









2014年10月21日火曜日

ケニア・医療キャンプのご報告


2014年医療キャンプ

私たちアフリカ支援 アサンテ ナゴヤは9月12日(金)から23日(火)の日程でケニアに行き、ヴィクトリア湖近くの奥地の農村ゲム・イースト村にて5日間の医療キャンプを実施して参りました。2010年から毎年9月に同じ村を訪問しており、今年で5回目です。総勢18名で、内科、小児科、皮膚科、歯科、採血、鍼灸、薬局という構成でした。
ゲム・イースト村はニャンザ州ホマベイ県に属しています。この地域はケニアの中でも特にHIV感染率の高いところで、私たちは診療とあわせて村の人たちにHIV検査の受検を奨めています。こうした農村では、無知や偏見からHIVはタブー視されることも少なくないのですが、今年は自らHIV検査を受けたいと希望する人もあり、ずい分啓発が進んだ印象がありました。

採血の様子

 

コミュニティセンターの建設

今年のキャンプでの最大の変化は何と言ってもコミュニティセンターが建ったことです。
2009年にアサンテ ナゴヤが初めてゲム・イースト村を訪れた時、現地のチャリティー団体ルーネルドのエリアス牧師が村に必要なものとして挙げたのが『コミュニティセンターの建設』と『クリーンな水』の2つでした。
建物を建てるというのは、私たちのような小さなNPOにとっては大変なことですし、夢のような話だと思っていたのですが、エリアスさんの方は本気でした。建設図面や見積もりを送ってきていたのですが、2012年には自ら村に土地を購入されました。私たちもその情熱に動かされ、2013年に募金を実施し、その資金を基に今年の春にセンターは無事竣工いたしました。

ケニアから送られてきた建築パース

これまでは野原にテントを張り、地面に直接机や椅子を置いて診療をしていました。
これはなかなかに過酷で、テントがあってもアフリカの太陽は容赦がありませんし、地面はでこぼこですので、机はガタガタして不安定でした。暑さのために体力を奪われて、体調を崩すこともありました。今年は全員が全日程休むことなく参加できたのですが、実はこれは画期的な事でした。
下の写真は昨年の採血の様子です。採血の担当の方はベテランで難なく仕事をこなしているように見えましたが、実際はかなりやりづらかったはずです。野外ですので、風でカルテが飛んで行かないように気を付けていないといけませんでした。

2013年の採血の様子

 

ゲム・イースト村に保健医療のための施設を

建築工事中も落成後もケニアから写真が送られてきていましたので、建物の様子はわかっていましたが、9月に医療キャンプのために村を再訪して、赤い屋根の建物が出来上がっているのを見たときは本当に感激しました。こんなに早く建物が出来上がるとは思ってもいないことでした。
センターのおかげで今年のキャンプはスムーズに運営され、受診者のトータルは昨年の4割増でした。

センターの目的はもちろんキャンプのためだけではありません。
今後、いかに稼働させていくかが課題です。医療から隔絶した環境にある村の人たちが安定的に診療や検査を受けたり、健康に関する情報を得られるような施設として運営していきたいと考えております。そのためにまず政府に公の『ヘルスセンター』としての認可を受けることが目標です。
ケニアの医療制度には課題が多いと聞いています。とりわけゲム・イースト村のような僻地の農村は政府の医療政策においても後回しにされがちだとのことです。
私たちの自立支援もセンターが完成したことでようやく第一歩です。これからもルーネルドとしっかり話し合い、現地の人たちに本当に役に立つ支援を続けていく所存です。今後とも私たちアフリカ支援 アサンテ ナゴヤの活動へのご支援をよろしくお願い申し上げます。

完成したコミュニティセンター



2014年8月8日金曜日

2014年ケニア・ゲムイースト村無料医療キャンプ


2014年度医療キャンプ



 私たちアフリカ支援 アサンテ ナゴヤは今年もケニア奥地の農村ゲム・イースト村にて無料医療キャンプを実施いたします。
 2009年のリサーチの旅から数えて6回目の訪問となります。村では毎年の医療キャンプは恒例として受け入れられており、今年も多くの村の人たちが私たちの来訪を待っていることでしょう。今年はコミュニティセンターの建設が完了していることが何より大きな違いです。昨年まではテントを張り、土の上にテーブルと椅子を並べて診療しておりましたが、今年は屋根の下での医療活動となります。
 私たちの来訪に合わせて、現地協力団体が開所式を企画しています。村の人たちや政府の担当者等を多く招いてのイベントとなるようです。日本の感覚では、建設完了からずい分時間がたってしまったように思えますが、式典には私たちアサンテ ナゴヤが同席しているほうがよいという判断なのでしょう。センターが村の中核的な施設であることを内外に印象付けることになることと思います。

 実際、村の健康支援、自立支援はセンターの建設によってようやく第一歩です。医療体制、クリーンな水、正しい健康情報などなど村に不足しているものは多くあります。現地協力団体ルーネルドとは常時eメールでやり取りを続けていますが、ケニアでは顔を合わせてしっかり話し合いをしてまいります。また皆様方にご報告申し上げますので、今後ともご支援をよろしくお願い申し上げます。



 
 
キャンプの様子をご理解いただけるよう、昨年2013年のキャンプにご参加くださった方の寄稿文をご紹介します。

2013年アサンテ・ケニア医療キャンプの感想

岐阜大学保健管理センター   西尾彰泰


今回はじめて、アサンテさんの医療キャンプに参加させていただきました。アサンテさんの活動は、イベントなどで良くお見かけしていたので、ご一緒したいなと思っておりました。さっそく機会を与えてくださったみなさんに感謝します。私自身の職種は、精神科医なのですが、2010年より、名古屋大学の国際開発研究科の大学院に入り、国際開発の勉強をしております。医学部の国際保健学科ではなく、国際開発研究科に入ったのは、単によくわかっていなかっただけのことなのですが、医療に限らず、経済開発や教育開発、社会開発など、様々な方向から途上国に関わる視点を持てたのは良かったと思っています。その関係で、先輩らが立ち上げた、ケニアで小規模の経済開発を行っているNPOに参加しています。そのNPOで、アフリカ関係のイベントなどに良くブースを出すのですが、アフリカをテーマにしたイベントでブースを並べるのはだいたい同じ顔ぶれですから、やがて、アサンテさんの活動を知るようになったのです。

 「ケニアで精神科医療を?」と思われるかもしれませんが、まだケニアはそんな段階にはなく、今回のキャンプで、私は受付を担当しました。私自身の関心も、医療キャンプでプレイヤーとして働くよりも、国際開発的な視点でマネージメントに関わることに興味がありましたので、受付を任せていただけたのは大変ありがたかったです。



受付がどういうものかと言いますと、1日におよそ200人の受診者が来ますので、それをつつながなく各科に割り振るというのが仕事です。今回のキャンプでは内科医5人、小児科医2人、皮膚科医1人、歯科医1人、鍼灸師2人の陣容だったのですが、どうしても小児科、皮膚科、歯科は渋滞しがちなので、様子を見ながら、小児科医でなくても大丈夫そうな年齢や症状の子供を、内科にまわすなど判断を行います。今回の場合のだいたいの基準ですが、3歳までの小児は、内科では困るだろうと思いましたので必ず小児科に、それから、嘔吐症状は小児科らしい症状ですので、そういう子供も優先的に小児科にまわすようにしていました。それから、ケニアでは皮膚疾患を持つ患者さんは、あまりにたくさんおりましたので、真菌感染やちょっとした湿疹、あるいは内科疾患由来らしい皮膚症状の人は、内科にまわすようにしました。そのため、皮膚症状はすべてこの目で見て確認を行いました。歯科だけは、他に回すということができませんので、その日の進行具合を見て、途中でお断りをすることもありました。結局、歯科治療を受けることができなかった人もいたので、それだけが残念ですね。それから、慢性痛を持つお年寄りには、積極的に鍼灸をお勧めしました。毎回、ケニア人スタッフに、私の説明をスワヒリ語やルオ語に通訳してもらうのは大変なので、数回目からは、ケニア人スタッフに「さっきの説明を彼女にもしてくれ」と頼めば、懇切丁寧に説明してもらえるようになりました。受付にはケニア人スタッフがたくさん入ってくれており、1日も一緒に仕事をすれば、こちらが何をやりたいかをおよそ理解してくれて、こちらが聞きたいことを先回りして聞いてくれたりなどするので大変助かりました。キャンプ後半には、判断に悩むときにアドバイスを求めたりしておりましたら、「それを判断するのはあなたでしょう?ドクター」と、やんわり釘を刺されたほど頼り切っておりました。たくさんのケニア人スタッフの中でも、特別に優秀な人が受付担当者の通訳として入ってくれますので、受付は恵まれたポジションだと言えると思います。

ケニアの印象についてですが、我々の活動する村は、予想と違って緑が多く、非常に美しい場所でした。逆に、途中で通過する茫洋と広がる半乾燥地帯のスケールも強く印象に残っています。ホテルから村に向かう道は、舗装されていない凸凹道がほとんどなのですが、その道をバスで揺られながら、どこまでも続くトウモロコシ畑を見ながら行き来するのが毎日の楽しみでした。ただし、これは体調を崩すと単なる悪路ですから、地獄のような道になります。ホテルの食べ物しか食べていないので、現地の人が食べているものを食べたわけではないのですが、食事は普通に美味しく、毎日夕食時にはビールを飲みながら、たくさん食べておりましたら、胃が動かなくなり、ずいぶん嘔吐しました。下痢はなかったので、食べ物にあたったわけではないと思います。やはり、慣れない場所で慣れないものを食べる場合には、腹八分を心がけるべきだと思いました。現地ではテンションが上がり、つい暴飲暴食をしがちですので、今度、はじめてケニアに行かれるかたは、その点に気をつけられると良いと思います。当たり前と言えば当たり前のことなのですが・・・。

私は、研究者ですし、国際開発学が専門のひとつですから、来年のキャンプでは、外部の人の検証に耐えうるしっかりとしたデータを取ったり、現地の人たちだけでも持続可能な仕組みを導入したりということもやれればと思っていますが、何よりも、トウモロコシ畑ばかりの電気も水道もないところで、素晴らしい仲間たちとハッピーな時間を過ごせること、それだけで十分という気もします。医師としての戦力になることはできませんが、来年も参加することができれば何より幸いです。




名古屋医療センター看護師 鈴木 泉

 

 日本でHIV・エイズ看護を行っているため、ケニアでの感染予防対策やゲムイースト村での感染率などに興味を持って無料キャンプに参加させて頂きました。無料キャンプ中に2回もVCT見学することができ、どちらともボランティアが中心となり予防啓発や検査、カウンセリングなど、その地域の人たちが同じ地域の人たちを支え合っていることがとても印象に残りました。

 ゲムイースト村での感染率は、日本全体の感染率と比べても比較にならないぐらい高いもので、予想はしていたものの、やっぱり驚きました。日本と違うのは、女性の感染率が高いということです。女性は母子感染を起こす可能性もありますが、文化や習慣の違いから女性の感染率を低下させることは難しい課題であると痛感しました。

 キャンプ中は、歯科ブースで先生の手伝いをさせて頂きました。歯ブラシを持っていない人が多ため虫歯が進行してしまっており、ほとんどの人が抜歯を希望するので、1日に何十本と歯を抜くのを手伝いました。器具の煮沸消毒も行わなければならず、初めての体験ばかりで毎日楽しんで手伝いさせてもらうことができました。

 短いキャンプ期間ではありましたが、多くの出会いと学びを得ることができました。機会があればまた参加させて頂きたいです。



2014年8月1日金曜日

アフリカ支援 アサンテ ナゴヤ 活動のご報告

長い間ブログを更新せず、申し訳ありませんでした。
しかし、アサンテ ナゴヤはお休みしていたわけではなく、いつも通り活発に活動していました。
9月には無料医療キャンプに出かけます。今年はコミュニティセンターが完成したこともあり、キャンプにおいても色々と新しい試みをする予定です。

今年度の活動についてご報告させて頂きます。

【コミュニティセンターの完成】

お陰様で3月にコミュニティセンターの建設は無事完了いたしました。建設募金にご協力下さった方々にはニュースレターの形でご報告を差し上げました。
今後は、このセンターをいかに活用していくかが課題になります。
私たちの自立支援活動もこれからが本当の始まりだと思います。



【アースデイ飛騨高山に参加】

今年もアースデイ飛騨高山に参加いたしました。とても素敵なイベントで毎年参加させて頂くのを楽しみにしています。
高山にはアサンテ ナゴヤを支援して下さる方が多数いらっしゃいます。 今年もたくさんの方々にケニアの現状についてお知らせすることが出来ました。




【国際ソロプチミスト名古屋-中のイベント】

6月は大きなイベントが2つありました。27日に国際ソロプチミスト名古屋ー中のチャリティイベントに参加させていただき、多額のご寄付を賜わりました。
今年は、私どもアサンテ ナゴヤのブースをご用意いただき、完成したコミュニティセンターや無料医療活動の様子をお伝えすることができました。ご配慮に心より感謝しております。




【アサンテナゴヤ講演会の開催】

もう一つは私たちにとって大切な行事である「アサンテナゴヤ講演会」です。
6月29日、梅雨の晴れ間のとてもよい天気の日に、澤崎康先生をお迎えしました。澤崎先生はJICAのHIV専門家としてケニアに駐在されていました。私たちアサンテ ナゴヤも大変お世話になっており、コミュニティセンターの建設の際は大きくお力をお借りしました。
澤崎さんはケニアで現地の人たちと深く交わっていらした方です。そうした体験に基づいたお話はとても興味深いものでした。
当日は沢山の方にご参加頂きました。貴重なお話にご満足いただけたことと思います。


【第26回愛知サマーセミナー】

教えたいことを教え、学びたいことを学ぶ夢の学校『愛知サマーセミナー』が今年も開催され、アサンテ ナゴヤも講座を担当させていただきました。
 
ケニアに関する簡単なクイズの後、まず「エイズの基礎知識」を、続いて本題の「ケニアにおける無料医療活動について」のお話をさせて頂きました。
アサンテ ナゴヤの講座には毎年多くの中学生が参加して下さいます。「エイズの基礎知識」は、ちょっと難しかったかもしれませんが、HIV陽性者の方々の人権にかかわることや、これまでエイズ患者さんに関わってきた体験談は、皆さんの心に残ったことでしょう。




今回のサマセミのWADN講座中、マレーシア航空墜落事故の犠牲者の中に、オーストラリアのエイズ国際会議に参加される予定の方々が多数いらっしゃったことが何度か話題になりました。亡くなられた方の中には、長年HIV/AIDSの問題に尽力されてきた方が多くいらしたようで、とても悲しく残念です。心からご冥福をお祈りしたいと思います。

アサンテ ナゴヤは9月のケニア・ゲム村での無料医療活動に向けて準備を進めております。ケニアも市街地でテロが起きるなど決して安全な場所ではありません。

キャンプに向けて、現地協力団体ルーネルドの皆さんともメールを頻繁にやり取りしているのですが、彼らは毎年のキャンプを本当に楽しみにしてくれています。そして私たちの信頼に応えようといつも真剣に取り組んでいることがよくわかります。

私どもは心して気を引き締めて現地での活動を遂行させていただきます。今後ともご支援の程、よろしくお願い致します。